HERDAYS

生理やピルについて、もっとオープンに話せたら。
もっと働きやすくて暮らしやすい社会になる。

Diary 2023.2.21
竹本萌瑛子(たけもこ)さん
1996年生まれ。熊本県出身。
新卒でヤフーに入社後、2021年にアマヤドリに転職。SNSをメインとしたプロモーション施策を中心に、個人でライターやモデルとしても活動中。

Twitter @moeko_takemo
Instagram @moeko_takemoto

大学一年からピルを飲み始めたアーリーアダプター

——ピルはいつ頃から飲み始めているんですか?

服用を開始したのは大学1年生の頃なので、飲み始めてから7〜8年ほど経ちますね。ピルの服用を検討したきっかけは友人との会話でした。生理痛がひどい友人だったのですが、ピルを飲み始めてから症状がかなり和らいだと。

当時、ピルについては名前しか知らない程度でしたが、友人の話をきっかけにインターネットで調べて、自分も試してみたいと思いました。

——日本でのピルの服用率は2.9%(※1)ほどなので、たけもこさんが大学1年の時なんて普及率はもっと低かったのではないかと思います。超マイノリティーかつ、超アーリーアダプターです。

普及率2.9%!思ったより低かったです。

——友人のお話からピルが気になったということは、たけもこさんも生理痛には悩まされていたんですか?

そうですね。腹痛、腰痛、頭痛などの身体的な症状から、気分の落ち込みなどの精神的な症状。あとは、出血多量や不正出血など、出血に関する悩みもありました。

特に、腹痛と腰痛がひどくて、高校生のときは休み時間になると友人が腰をさすってくれていました。私は鎮痛剤がよく効く体質だったので、耐えられないときは市販の鎮痛剤を服用して乗り越える、という感じで。薬をお守りのように持ち歩いていました。

——病院でピルを処方してもらった時はどういう感情でしたか?

ピルを服用すること自体への恐怖はあまりなかったです。ただ、産婦人科に1人で行くのは人生で初めてだったので、とても緊張したのを覚えています。処方してもらった後、いちばん不安だったのは「毎日同じ時間に飲み続けることができるかどうか」という点でした。実際、毎日の服用に慣れるまでは少し苦労しました。

——実際にピルを服用し始めてから、症状に変化はありましたか?

正確なタイミングは覚えていないのですが、何ヶ月か経った後に効果を感じ始めたと思います。特に分かりやすく変化したのは出血に関する悩みでした。服用前は、長いときで10日間以上にわたって出血が続くこともあったのですが、今では5日間前後で終わることもあります。

腹痛、腰痛などの身体的な辛さも改善されました。周期によっては、いまも辛いときはありますが、基本的に悩みが緩和されたと感じます。こんなに楽になるなら、中学、高校など早いタイミングから知っておきたかったと思うレベルです。

——副作用として、だるさとか、むくみ、吐き気の症状を持っている方もいますよね。たけもこさんは大丈夫でしたか?

服用し始めたころは、なんとなく気持ち悪い感じがありました。ただ、事前に調べていた副作用と近かったのであまり不安もなく。とりあえず先生に相談して、種類を変えてみることにしました。新しい種類をしばらく飲み続けると、気持ち悪さはなくなったので、自分に合う種類を見つけることも大事だなと思います。

誰もが気軽に相談できる「オンラインピル処方」への期待。

——実際にHERDAYSを利用した感想を教えてください。

婦人科に限らず、オンライン診療は初めてだったのですが、一貫してスムーズでした。事前の問診や予約など、やりとりが全てLINEで完結するので心理的なハードルが低いのも魅力だと思います。

オンライン診療自体は、短時間で終わったことがありがたかったですね。私がもともと服用者だったこともあるかもしれませんが、スムーズに進めていただき、10分以内には終わりました。ピルの処方って、先生による肉眼での診察ではなく、生理の症状などを口頭で伝えることがメインなので、確かにオンラインでも十分だなと感じました。

診察後、アフターフォローのLINEが送られてきたことも良かったです。私は服用歴も長いので、改めての悩みはありませんが、服用を始めたばかりの方にとっては、かなり心強いだろうなと。

——たけもこさんは、ピルを服用し始めたばかりのころ、身近に相談できる方はいましたか?

気軽に相談できる人はいませんでした。もちろん、深刻な副作用などがあれば先生に相談しなければいけないと判断すると思うのですが、ちょっとした疑問はインターネットに相談してしまいがちでしたね。例えば、お茶で飲んでいいのか、とか、服用のタイミングがずれてしまった場合どうすればいいのか、など。最初は分からないことだらけですから。

ピルの服用経験がある身近な人ってあまりいなくて。以前、母親にピルについて話したときは「それ、妊娠しづらくなる薬でしょ!?」って心配されてしまって。ピルが「PMSを緩和する」という効果は知らなかったんですよね。私たちの親世代はピルが普及してないから、知識がなくても仕方ないとは思いつつ、ピル=避妊のイメージはやっぱり強いんだなと思いました。

——相談先の選択肢のひとつとして、オンライン診療があると安心ですね。

そう思います。最終的にピルを処方してもらうかどうかは置いておいても、婦人系の悩みを気軽に相談できる場所があるのはありがたいですよね。

先ほど、「中学、高校など早いタイミングからピルについて知っておきたかった」と言いましたが、仮に知っていて服用したいと思っても、処方には親の同意が必要なケースがありますし。自分も親も知識が不足している状態だと、なかなか説得は難しいと思います。でも、まずはオンライン診療という形で相談できれば、ハードルは低そうだなと想像しました。

他にも、生理痛に悩んでいる友人に対して、安易にピルを勧めるのは難しいけど「とりあえずオンライン診療を受けてみたら?」は、言いやすいですし。“医者の問診”と言うと構えちゃいますけど、比較的ラフな気持ちで受診できるのがオンライン診療のいいところだと思います。

生理について、どこで学ぶ?

——「ピル=避妊」というイメージは根強く、PMSに効くという情報はいまだに浸透していない感覚があります。卑猥なもの、というイメージを持っている方もいるそうです。たけもこさんは、ピル服用者として好奇な目を向けられた経験はありますか?

ピルを服用していることを人に話す機会があまりなかったので、私自身はそういった経験はありません。

ただ、誤った認識の話で言うと、先日とある漫画を読んでいてびっくりしたシーンがありました。女子高生が同級生にレイプされそうになるシーンで、「いま生理中だから!」って叫びながら抵抗するんですけど、対する相手のセリフが「嘘つけ!ピル飲んでるの知ってるぞ!」っていう。いや、ピル飲んでても生理は来ますけど!と心の中でツッコミを入れました。

——声に出してツッコミたいレベルです。

公の出版物にも誤った知識、あるいは語弊のある表現が混入していることに驚きました。ピルに対する知識って、まだこのレベルなのか……と。正しい知識が浸透していないのは、ピルの普及が進まない一つの要因になっているかもしれませんね。

——ピルはもちろん、そもそも生理についての理解も、人によってかなりばらつきがあるように感じます。

「生物学的な機能としての生理」は一律に保健体育で習いますが、「社会学的な生活上の生理」に対する理解の深さには、人によって差がありますよね。男女問わず、普段の生活のなかで生理をどう扱うか、どう付き合っていくかって、正解があるわけでも無いので。

私が初めて「生理」について学んだのは、学校での授業ではなく一冊の漫画本でした。「セイリの味方スーパームーン-生理なんでもハンドブック(※2)」というタイトルなんですが、たまたま家にあったのを手に取って。「生理」という言葉をはじめて聞いたくらいの年齢で読んだのですが、いま思うとすごく学びになっていたなと思います。

——具体的にどういう点が学びになったんですか?

またまた漫画からの引用で恐縮なのですが、とても記憶に残っているシーンがありまして。主人公の女の子がナプキンを持ってトイレに向かう途中、同級生の男の子が「今日セイリなんだろ!」と教室でからかうシーンです。からかわれて恥ずかしい思いをした主人公は、最終的に男の子に「生理は恥ずかしいことじゃないんだよ」と諭しながら言い返すんです。

読んだ当時は、生理の仕組みこそ理解するのは難しかったものの、子どもながらに「生理でからかうってダサいことなんだ。生理は恥ずかしいことではないんだ」という価値観がインストールされました。私の生理へのイメージは、その漫画本で醸成された気がしています。

——私が小学生のころは、男女で教室を分けて生理について授業していました。そういった空気感も、「生理は恥ずかしいこと」という認識を助長している気がしますね。

確かに、そういう空気感って子どもは敏感に感じ取りますからね。生理についての知識は男女共通で持っていた方が、お互い生きやすくなるはずなんですけどね。今も、男女分かれてるのかなあ。

「生理(PMS)のせいだ」をみんなで共有できたらいい。

——生理痛(PMS)の症状は人それぞれ、という前提はありつつ、たけもこさんは生理に対してどのようなスタンスでいますか?

ピルを服用する以前は、とにかく我慢するもの、という認識でした。鎮痛剤もあまり飲みすぎると効きづらくなくなるという話を聞いたことがあったので、ここぞというときにしか飲んでいなかったし。この先何十年もこの痛みを味わうのかと、ふと絶望的になることもありました(笑)

でも、ピルを服用して症状が緩和されてからは「コントロールしながら付き合っていくもの」というスタンスに変わりました。いちばん辛かった腹痛と腰痛が改善されたことは、個人的に大きな変化だったので。強敵の弱点を見つけたような感覚です。

実は、この7,8年くらいの間に、ピルを中断していた期間が少しだけあって。中断して改めて「生理ってこんなに辛いものだったのか」ということを思い出して、ショックを受けました。調子良く過ごせていたのは、ピルのおかげだったと再認識したんです。さらに、生理痛はコントロールできるものなんだと、そのとき改めて解釈できたんですよね。

——身体的な変化は比較的わかりやすいですが、精神的な落ち込みなどに対しては、どのように向き合っていますか?

いちばん大事にしているのは「自分の状態を理解しておくこと」です。明確な理由が無いのになんとなく落ち込んでいるときは「これは生理のせいだから、必要以上に落ち込まないようにしよう」と思うことにしています。実際、生理中の気分の落ち込みって、いろんな理由があると考えていて。

例えば、生理中の異常な眠気のせいで仕事が進まなくて落ち込んでしまう、とか。イライラを身近な人にぶつけてしまって自己嫌悪に陥ってしまう、とか。こういうのは全部「必要以上の落ち込み」だと思うんです。

生理そのものによる落ち込みは仕方ないとしても、仕事が進まないのは生理のせいだ、というふうに決めつけて、いかに負のスパイラルを止められるかを意識しています。あくまでも意識で、制御できないときもありますが…….。最終的に「自分を責める」ことはしないようにしています。

——負のスパイラル、よくわかります。パートナーがいる場合は、生理中の自分について伝えておくことも大事だなと個人的に思っています。

私は、性格的にあまり怒ることってないんですけど、PMSがひどいときは自分でもびっくりするほどイライラしやすいので、家に引きこもるようにしています。自分で落とした箸に対して「なんで落ちるの!?」という感情が沸くことも(笑)

家族やパートナーなど、物理的にも心理的にも距離の近い人であれば「このイライラは決してあなたのせいでは無いんです」と伝えたいですよね。生理のせいで喧嘩になんてなったら、悔しすぎますから。「生理のせい」という考え方は、理解する努力と、理解してもらう努力、どちらもあってこそ成り立つものだと思うので、オープンに知識を共有できたらいいですね。



※1
https://www.un.org/development/desa/pd/sites/www.un.org.development.desa.pd/files/files/documents/2020/Jan/un_2019_contraceptiveusebymethod_databooklet.pdf

※2
https://www.kaiseisha.co.jp/books/9784035330707


この記事に記載された症状や治療法は、あくまでも個人の体験談であり、症状を説明したり治療を保証したりするものではありません。気になる症状がある場合は医師にご相談ください。

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