私とBさんは子宮筋腫に悩まされてきたね。二人とも最終的には手術で摘出したけれど。最初、何か予兆はあった?
予兆なんて全然なかった。私は20代前半で結婚・妊娠したけれど、妊娠したときに初めてわかったの。子宮筋腫があるって。筋腫がありながらの妊娠だったせいか、切迫流産を2回繰り返して、入院してって感じで、出産に関してもネガティブなイメージが強くなったかな。辛かったし。
激務もあっただろうけど、子宮筋腫が影響した可能性もあるんだね。私は、生理の出血量が多くなっていたんだけど、違和感までは感じてなくて、会社の健康診断で子宮筋腫を診断されて初めてその存在を知って驚いた。Cさんは、子宮筋腫、もってなかったよね?
ない。病気だよね?
良性の腫瘍だけれど、女性の3人に1人はもっているといわれている。
私は婦人科系、健康診断で引っかかったことがないんだよね。
素晴らしい!
子宮筋腫をもっていると、どんな症状が出るの?
生理のときの出血量や痛みがひどいの。何時間もトイレに行けないときもあるじゃない? 会議とか外で張番したり。ずっとトイレに行けないかもしれない、というような場面もあったりするから、目立たないような黒っぽい洋服を着たり。ヘリで3時間フライトして戻ってきたときに、タンポンを入れて夜用のナプキンも使ってたんだけど、それでも漏れてシートを汚しちゃって。タクシーでも、そんなことがあったかな。
わかる。スーパータンポンと夜用ナプキンを使っても30分もたないから、出血がおさまるまで出社できないとか。出張や長距離移動のときは生きた心地がしなかった。
あとは、便意がきたときにキーンってすごい痛みがきて。筋腫のせいかわからないけど。臓器がぶつかるのかな? よくわかんないけど痛くって。
私は、子宮筋腫を診断されたときはまだ数センチ程度で経過観察だったけど、数年で内視鏡手術では対処できないぐらい大きくなっちゃって。仰向けに寝ているときでもお腹に「何かある」のがわかるほどだった。
最初に診断されたときの選択肢としては、ピルを飲んで筋腫を大きくしないようにするか、小さいうちに手術をして取るか。でも手術をしても再発する可能性はあるという説明を受けて。ピルもよくわからないし、手術はこわいし、ネットで調べまくって漢方薬を有名なクリニックで煎じてもらったりもした。Bさんは何か対処した?
何にも。子どもが産まれてからは病院行くのも大変で「治療しよう」って感じでもなかったし。若いうちから、内科に行くみたいな感覚で婦人科に通う文化があった方がいいなと思うよー。若い頃から婦人科に通う文化があったら、もっと早く気付くことができて、治療できただろうなと思う。
手術はいつしたんだっけ?
38歳のとき。「もう子どもを産むとかはないなあ」と考えたときに、こんなに辛いことがあと10年も続くのだとしたら「もういらない」と思って。
婦人科を受診したときに、ピルは勧められなかった?
教えてもらってたらよかったなって思う。生理の辛さも抑えられると教えてもらっていたら、私、もしかしたら子宮を取らなかったかもしれないなあって。だって、ピルを飲めば生理が楽になるし、月経困難症も抑えられるわけでしょ? 選択肢として教えてもらいたかったな。
私は、先生にピルを勧められたときに「それってどんな薬ですか?」と具体的に聞けばよかったと思ってる。聞き流しちゃって、結局は手術で子宮全摘するしか選択肢がない状態にしてしまった。
それって飲み薬? 生理が来なくなるなんてことができるの?
出血はするんだけど排卵を抑えてくれるから、量がすごく少なくなる。
来なくなるんだと思ってた、知らなかった!
自然のものをコントロールできちゃうのはちょっとこわい。
気持ちはわかる。だけど私も最近ピルについて勉強する機会があって。ちゃんと理解できれば、普通に選択肢としてあり得ると思うよ。
自分が知らないだけだよね。いろんな薬を飲んでるもんね。
だからもっと教えてもらいたかったな。若いうちからピルの知識に触れるとか、啓蒙が大事よね。
Cさんは比較的生理が順調そうだけど、PMSとかはない?
PMSって例えば?
生理前になるとちょっと不安定になったり・・・。
それはね・・・ある、イライラする。
自覚症状がある?
よくよく考えると生理の前だったりね。更年期なのかなって思うぐらい体調が悪かったり、イライラしたり。生理はもう最近アレ(閉経に近い)だけど、次は更年期障害なのかな?と身構えてる。
やっと生理の悩みから解放されたと思っても更年期がきちゃうからね、ホント嫌になっちゃう。
先日、テレビのドキュメンタリーで更年期障害について特集していたんだけど、そんなにひどいものだと知らなかったから驚いた。仕事もできないぐらいの症状の人がいても、症状が千差万別すぎて、なかなかみんな原因にたどり着けずに悩んでる。忙しいからイライラしてるのか、更年期のせいなのか、自分のことなのにわからない恐怖。
私の職場では、更年期障害とかPMSでも生理休暇が取れるように制度改正しようという流れになってる。「この日しんどくなるから休みます」みたいなことは私たちの世代の職場ではできなかった。前はね。でもこれからはPMSとか更年期障害でも生理休暇を取れるようにしようって。
知らないって怖いことで。無言でハラスメントしている可能性があるよね。私はそんなにひどいってわからなくて、単に「この人毎月休んでる」とか「こんなに忙しいのに休みやがって」とか思うかもしれない。「自分はちょっと体調が悪くても頑張ってるのに」とか、比較しようとしちゃう。女性特有だからかえって言いづらい、男性上司だと言いにくい、とかさ。わかんないけど男性もそういうのがあるなら、お互いにオープンにするのがいいよね。男性も実はこういう症状で悩んでるって。
男性の更年期もあるっていうしね。
シスターフッドとして、若い世代にこれだけは伝えたいとかある?
しんどいのを耐えるんじゃなくて、薬での処方を検討するとか、病院に行くとか、自分の体調をコントロールして、我慢しなくてもちゃんと生活が送れるようにしたほうがいい。婦人科の先生にみせるの嫌だなと思うかもしれないけど、自分のQOLが上がるじゃない? 今まで、薬を飲まずにいたことがアウトプット低下の原因になっていたのだとしたら、ちゃんと病院のお世話になって、今まで以上のクオリティの仕事ができたほうが絶対いいなと思う。会社としてもそっちのほうがいい。私の職場では、生理休暇をとって身体を休めるだけじゃなくて、「しんどくなったら病院に行ってください」、「ちゃんと治療をして休まなくてもいい身体づくりをしてください」と呼びかけるようにしてる。
そうだね、生理休暇をあげるからつらかったら休んでね、じゃなく。
つらいから休むんじゃなく、休んでもいいけど、病院に行ってちゃんと自分の体を知ってコントロールする。生理は辛くて我慢しなきゃいけないもの、耐えるものじゃなく、そこはコントロールしましょうね、みたいなことを下の世代に伝えていかないとね。会社側からしても「生理でしんどいから休みます」、「生理でしんどいからアウトプットさがります」とか、損失になるでしょう? だったら体のメンテナンスをしようという風潮を作っていきたいね。
そういったことを、私たちアラフィフ女性が黙っていないで、若い世代に積極的に伝えていくことが大切なんだろうね。